ハナバッハ(HANNABACH)の弦の種類と見分け方

1869年創業のドイツの老舗ブランドです。アントン・ハナバッハが創設した会社を元に、数世代にわたりハナバッハファミリーが経営を続けてきました。

1) 10種類のハナバッハ弦

ハナバッハの弦は10種類のシリーズがあり、比較的安価な2種類の入門用シリーズと標準品を含む8種類のシリーズで構成されています。
他の弦メーカーと同様に、低音弦のメッキや芯線、巻線の種類によって区別されています。

1-1) 低音は銅+銀メッキ、高純度銀メッキ、金メッキ

低音弦は3種類のようでいて、実は少しずつ異なる仕様にしているため厳密にいうと6種類あることになります。そして、これら6種類が高音弦の種類と組み合わせられるため、シリーズも複雑になってしまいます。

そこで、ここでは敢えて低音弦の材質やコーティングの分類だけにしておき、敢えてシリーズの名前(商品名)は出さないようにしておきます。

低音弦の種類

 L1. 高純度銀メッキ銅巻線(標準品)

 L2. シルバースペシャルよりもさらに高純度の銀メッキ

 L3. L1にコーティングを施し耐久性をあげたもの

 L4. 新開発の芯線に高純度銀メッキ銅を巻いたもの

 L5. 金メッキを施したニッケル巻線

 L6. 24K(純度99.99%)金メッキ

1-2) 高音はナイロンが主流、カーボンとチタニールも

ハナバッハの弦の多くは高音にナイロン弦を使用しています。そしてカーボン弦もチタニール弦も他のメーカー同様に用意されています。カーボンやチタニールはグレードの高い低音弦と組み合わされることが多いようです。

高音弦の種類

 H1. ナイロン(一般的なナイロン弦)

 H2. カーボン(炭素素材を含有した弦) 

 H3. チタニール(ポリアミドを含有した弦)

 H4. スパーカーボン(薄い金色で暖かい音色)

2) ハナバッハ10種類の材質とネーミング

それでは低音弦と高音弦を組み合わせながら10種類のシリーズを見ていきます。テンションについても併せて書いていきます。

2-1) ナイロン中心の4種類

1. シルバースペシャル(815シリーズ)

低 高純度銀メッキ銅巻線 × 高 ナイロン

標準的な組み合わせのシリーズで黄・緑・黒の高音弦は同じテンション

低音弦は、黄 → 緑 → 黒 → 青 → 赤とテンションが上がっていきます。

2. シルバー200

低 さらに高純度の銀メッキ × 高 ナイロン

シルバースペシャルの低音弦を一段グレードアップしたセット

グレーがライトテンション
紫がハイテンション

※ハイテンションは低音高音共に

3. エクスクルーシヴ

低 コーティングした銀メッキ銅巻弦 × 高 ナイロン+チタニール

シルバースペシャルの低音弦にコーティングを施したもの

1,2弦はナイロン弦 3弦はチタニール

4. カスタムメイド

低 新開発の芯線に銀メッキ銅巻弦 × 高 ナイロン

印象としては、エクスクルーシヴのナイロン弦版

緑 → 黒 → 紺 とテンションが上がる

紙の簡易包装になっている。

2-2) ナイロン以外と金の4種類

5. チタニール (950シリーズ)

低 新開発の芯線に銀メッキ銅巻弦低 シルバー × 高 チタニール

カスタムメイドの低音弦とチタニールの高音弦を組み合わせたものと考えられます。

硬質で芯のあるしっかりした鳴り方な上に、繊細さもあります。

6. カーボン(ハーフセット)

カーボンの1~3弦だけのハーフセット

ナイロン弦よりも細く
テンションはミディアムハイのみ

7. ゴールディン(725シリーズ)

低 金メッキを施したニッケル巻線 × 高 スパーカーボン

ハナバッハ弦の中でもかなり上位のシリーズ

8. ピュアゴールド(8254, 8255, 8256)

24K(純度99.99%)金メッキを施した低音弦だけのハーフセット

最上位の低音弦であることには違いないが、24Kのメッキが実用的であるかどうかと言われたらそうでない気もします。

2-3) 少し安価な弦2種類

9. 600シリーズ Silver-Plated

低 ナイロンの芯線にの銀メッキ銅線 × 高 ナイロン

ミディアムテンションとハイテンションがある。

パッケージの簡略化や価格を抑えた新素材の開発など徹底したコストカットにより、シリーズの中ではリーズナブルな価格を実現したもの。

10. 500シリーズ Student Classic Guitar Strings

低 ナイロンの芯線にの銀メッキ銅線 × 高 ナイロン

ミディアムテンションとハイテンションがある。

600シリーズと同様にリーズナブルな価格設定を実現した弦
②④⑤⑥弦にマーキングをしてあり、張り替えの際に各弦の判別が容易になる工夫がされている。

3) 使用感

ハナバッハの弦は非常に落ち着いた音がでる印象です。ですので、ギター個体として良く鳴り響いてくれる楽器の激しさを程よく緩和してくれる印象があります。ナイロン弦はやや太めな印象です。

色々な弦を試す中で、メーカーごとの違いも感覚として感じられるようになってくるかと思いますので、とにかく一度試すということを続けてみてください。