コンサートでのマナー

コンサートは、演奏する側と聴く側が音楽のために集い、一体となって、心ゆくまでそのひとときを楽しむ場です。
素晴らしいコンサートは、会場の音響の良さだけではありません。
コンサートの主役はその場にいる全ての人と言えるでしょう。
良い演奏は会場の雰囲気を盛り上げ、聴く側の態度や反応がよければ、相乗的な音楽を紡ぎ出します。

素晴らしいコンサートは、ひとり一人の心がけによって生まれるものなのです

そんな充実したひとときをつくるために、鑑賞時の姿勢やマナーが求められます。しかし、一口に鑑賞時のマナーと言っても、その姿は音楽の種類によってさまざまです。

では、クラッシくギターのコンサートにおいては、どのような点に注意すると良いのでしょうか?
それを考えるには、まず、クラシック音楽のコンサートがどういう特徴を持っているかを知る必要があります。

生演奏が基本

クラシックギターのコンサートの特徴は、何と言ってもすべてを生の音で表現することに尽きます。
弦や楽器そのものからじかに鳴り響いてくる音は、音色、質感などの点で、他に替えがたい表情の幅広さ、細やかさ、豊かさを持っています。
こうしたコンサート鑑賞の醍醐味とは、そんな生音にじっくりと耳を傾けることに他なりません。

クラシックギターは、クラシック楽器の中でも比較的音の小さな楽器です。
屋外の音に耳が慣れているうちは、聞こえにくいと感じるかもしれません。
時間とともに、耳が慣れ、演奏の豊かさや心地よさを感じることができるでしょう。

そのために、鑑賞時は「聴くこと」に集中して下さい。
聴き手集中は演奏者に十分伝わります。「真剣に聴いてくれている」という思いが、より素晴らしい演奏を生むものです。

細かな雑音に気を配りましょう

人間は、自分では意識していなくても、いろんな「雑音」を発してしまっているものです。
・ちょっとしたおしゃべりや独り言
・チラシやプログラムをめくる音
・そっと食べようとした飴の袋の音
・花束やプレゼントのラッピングの音
・足音
・衣ずれの音等々
音を出している本人が気づかない場合が多く、周りにいる人は耳障りに感じられるのです。

繊細な音を聴く場では、このような音は全て雑音なのです。

周囲の迷惑となる雑音を未然に防ぐため、次のようなことにご注意下さい。

●場内に大きな荷物を持ち込まない。
 (コインロッカーを利用したり、預けたりする)
●スーパーのレジ袋など音の出やすい物は、持ち込まないか、あらかじめカバンの中に入れておく
●携帯電話の電源、時計のアラーム音を切っておく。
●演奏中におしゃべりをしない。
●演奏中にカバンのワニ口やチャック等をいじらない

咳払いくしゃみなど生理現象として出てしまうものは仕方ありませんが、ハンカチ等をあてがうことで音量はかなり軽減されますし、周囲に対する気遣いも感じられるので、思ったほど迷惑なものには感じられません。
(ただし何度も出てしまうような場合は、曲間にすみやかに場外へ出るのが他の方への気配りと言えるでしょう)。

演奏中の座席の移動、着席、退出等の振る舞いはお控え下さい。
未就学児の入場をお断りしているのも、前述のようなマナーに即した長時間の鑑賞が難しい理由によります。

拍手のタイミング

 クラシック系の音楽鑑賞でしばしば問題になるのが「いつどこで拍手したらいいのか判らない」ということです。
クラシックギターのコンサートで演奏される曲は、他のクラシックコンサートと同様に単一の曲ばかりでなく、交響曲、協奏曲、組曲など、複数の曲で構成されているものが多くあります。
その場合はすべて聴き終わった時点で拍手をするのが通例です。
タイミングの悪い拍手は誰からも歓迎されません。
曲を知らない、タイミングがわからない等の不安があれば、あせらず周囲の流れに合わせるようにしましょう
 拍手は聴衆の意思表示です。素晴らしい演奏を聴いたとお感じになった際は、どうぞ大きな拍手をお送り下さい

アルハンブラあるある

フランシスコ・タルレガの名曲「アルハンブラ宮殿の想い出」は、トレモロ奏法の美しい曲です。決してゆったりとした雰囲気の曲ではありませんが、うっとりと音色の余韻を楽しむことができる曲です。

この曲の最後は、メロディーが徐々に高音になり、そこで終わったかのような印象を受けます。しかし、実際は続きの音があって、低音を含んだ和音で落ち着いて終わるのです。

気の早い方は、この最後の和音を聞かずに拍手をしてしまします。

演奏者としては少しがっかりするところです。
クラシックギターで演奏を終える場合は、最後に弦を抑えて全ての音を消すことがあります。
「アルハンブラ宮殿の想い出」に関しては、まさしくこれが当てはまり、最後の和音の後、弦を押さえたタイミンが、拍手を静かに始めるタイミングです。

録音や撮影について

撮影時のシャッター音やフラッシュは演奏や鑑賞の大きな妨げになるばかりでなく、演奏を無断で記録(録音・撮影等)することは、著作権、肖像権の侵害にあたり、(主催者が許可している場合を除いて)禁止されています

飲食について

飲食の際の物音やニオイも、他の方の鑑賞の妨げになります。
休憩時にホワイエに出て、飲食を済ませましょう。
コンサートによっては、休憩時間中にコーヒーやジュースの他、サンドイッチなどを販売している場合があります。

アンコールについて

演奏者や指揮者は正規のプログラムをすべて演奏し終えるといったん袖に引っ込みます。アンサンブル等では、拍手が続いていることを確かめるかのように下がるタイミングを見計らっていることがあります。
ほとんどのコンサートにおいては、アンコール曲を用意していることが多いので、指揮者がステージに戻tたり、演奏者が再び着席するまで、拍手を続けましょう。

アンケートについて

プロのコンサートでは稀ですが、学生サークル・部活のコンサートや社会人アンサンブルのコンサートでは、アンケートの記入を求められることがあります。
アンケートの内容は、曲についての感想だけでなく、舞台運営やどのようにしてこのコンサートを知り得たのかなど、今後の活動に役立てていく内容のものです。
コンサートの批判や誹謗中傷を書くものではありません。

より良いコンサートになるように、参加者の一人として演奏者の次への励みになるような内容を、建設的な表現で書くのが良いでしょう。

記入用のペンは入場時に配られますので、退場時にアンケートとともに返却してください。

お帰りの際は

最後に、出てしまったゴミや、プログラム・案内のチラシなど会場に残さないようにして、会場を後にしてください。

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