ソル (Fernand Sor)

(1778 – 1839)

フェルナンド・ソルは18世紀後半から19世紀半ばにかけてのスペイン(バルセロナ)のギタリスト・作曲家である。

ソルの記譜法通りに、音を再現する、表現する訓練を積めば、後のタレガ、リョベートなどのロマン派、さらに近代、現代へのアプローチが俄然速くなる。譜面から音楽を読み取る糸口になる。だから、すべてのギター学習者に勧めるのだ。

福田進一Twitterより

と、ギタリスト福田進一が言うように、クラシックギターを触るならば、練習曲のみならず色々な楽曲に触れておきたい作曲家の一人です。
また、当時は居酒屋などで演奏されていた楽器に過ぎなかったギターを、管弦楽用の楽器と同等の地位にまで高めることに一役も二役もかっている作曲家です。

古典派として有名なソルの作品は、同じ古典派時代のモーツァルトらが用いた低音の同じ音を長く続けて響かせる音(保続音)を同様に用いることで、不協和音を取り入れたことが特徴としてあげられます。
また、Op.9やOp.14に見られるように、短調の序章から長調の主題へ転調するといった特徴も見られます。

スペインからフランスへ

バルセロナ生まれのソルですが、ナポレオン・ボナパルトが活躍した時代には、親フランスと見なされフランス・パリへ亡命し、その後2度とスペインに戻ることはなかったそうです。

パリでは同じスペイン人でギタリストでもあった作曲家ディオニシオ・アグアドをはじめ、多くの音楽家と親交を結び、共同で音楽活動をすることが多かったようです。ギターのための二重奏曲『二人の友 Les Deux Amis』は、ソル自身がアグアドと演奏するために作曲した作品でもあります。

ソルの晩年には傑作とされる多くの作品の他、各国語に翻訳された『ギターの方法Método para guitarra』等の教則本が出版されました。

ソルの最後の作品は1837年に死去した娘のミサのために書かれたものですが、1839年に後を追うようにソル自身もパリで亡くなり、モンマルトル墓地に埋葬されています。

よく弾かれている曲

・グラン ソロ 序章とアレグロ Op.14
・モーツァルトの魔笛の主題による変奏曲 Op.9
・12のエチュード Op.6
・12のメヌエット Op.11
など多数