良いギターの選び方
「演奏者は楽器に育ててもらう」という言葉を耳にしたことがあります。良い楽器は、弾きやすいだけでなく、その弾きやすさゆえに演奏者が音楽表現に力点を起きやすくなります。
ですから、入門〜初心者〜という域を越え、技術的な力量が付いてきたなと感じられるようであれば、良いギターを探してみてはいかがでしょうか。
ギター選びの3つのポイント +1
1 表面板の材質
2 弦高が適切な高さになっているか
3 音のバランスが良いこと〜均一な音量〜
+1 手にした時、構えた時の感覚
中々言葉で説明するのは難しいのですが、プロギタリストやクラシックギターの専門店などを巡って、ギターに精通している方々に伺った結果、どの方も口を揃えて仰るのはこれら3点です。そして、やはり周囲がどれだけ良い評価をしても、個人の触り心地が良くなければ決め手にならない場合もあるかと思い、1点付け足しました。
1 表面板の材質
表面板に使われる木材として杉(シダー)と松(スプルース)があります。
杉を表面板に用いたギターの方が、温かみのある柔らかい音になってくれます。音の立ち上がりも比較的速いと言われ、実際に弾いてみると手元でグワんと鳴る感覚があります。
一方で松を表面板に用いたギターは、硬くしっかりとした音が出やすい言われています。手元よりも、より遠くに音が届くような感じで、演奏者にとっては杉のギターよりも音量が少ない印象を受けるかもしれません。
当然ですが、どちらの木材を使っていても演奏者の技術や経年によるギターの変化によって音質は変わってきます。ですから松を用いたギターでも柔らかく味のある音は出るでしょうし、杉のギターでも同様に鋭く遠鳴りのする音も出せるというわけです。
好みの別れるところではありますが、材質の特性を理解した上で他の要素との関連性を見てみるのは非常に重要なことだと考えています。
2 弦高が適切な高さになっているか
弦高が極端に高いギターを弾いたことはありますか?
弦高が極端に低いギターを弾いたことはありますか?
弦高が極端に高いギターは、12フレット付近で弦を押さえると、他の弦に指が埋まっているような感覚になります。
一方で弦高が極端に低いギターh、1フレット付近で何もしなくても弦がフレットに擦れているような感じを覚えます。
どちらの場合も、弾き安さや音の質から見ても良い状態とは言えませんね。
こうしたことを理解していても、いざ楽器店でギターを持ってみると残念な思いをすることがあります。
そんな状態のギターに出会うことはお店の信用上、滅多にありませんが、楽器の個体差によってそもそもが「高め」「低め」に設定されていることはあります。
特に近くに専門店がなく、インターネットから購入をお考えの場合は気をつけなければならないところです。
適正な高さとされる範囲はあります。しかし、その中に収まっていても、人間の感覚とはいい加減なもので、数字以上の印象を受けることは良くあります。
3 音のバランスが良いこと〜均一な音量〜
良く鳴る楽器、音の出やすい楽器を買うことは、鳴らない楽器を買うことよりも大切です。
しかし、ウルフトーンと呼ばれる音、共鳴音が大きかったり(他の弦を鳴らした時に一緒になってしまうような音)、極端によく鳴りすぎるフレットがあったり、もっとダメなのは開放弦が飛び抜けて大きな音がでりするような楽器があります。
こうした楽器は、音の強弱がつけにくく演奏のバランスや演奏者の技術を台無しにしてしまうことがあります。
弦による音の違いはあるにせよ、どの弦のどのフレットを弾いても音量や音色が均一な方が楽器としては良いと言えます。
つまりバランスが大事ということ
ここまでお話ししてきて、つまり言いたいことは?と聞かれたら、ギター全体のバランスが大事だということです。
材質やフレットの高さ、弦に影響されることはもちろんあるにしても、各弦を弾いた時のバランス、各フレットから出した音のバランス、音そのもののバランスが大事だということです。
正しいアポヤンド、アル・アイレができてこそな部分はあるので、特に初心者は上級者のアドバイスを参考にされるとよいと思います。
最後に感触 これが+1の様子
明るい、乾いているけど潤いもある 伸びも良い 音量もあるなど、良いギターの条件が揃っていても、演奏者との相性はあるかと思います。
同じギターを違う人が弾けば音色は変わります。
プロと呼ばれる人は、どのギターを弾いてもギターの音を引き出すことはできるのだと思います。しかし、それでもやはり「これがいいんだ」というギターはあって、その違いは?と聞かれた時には、結局のところ良い理由はいくつもあるにしても、演奏する予定の曲や演奏者本人との相性というところになるのだと考えられます。